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田坂広志「これから何が起こるのか」

2006年1月出版と少し古い本ですが、とても興味深い本です。
著者は75の変化をこの本で扱っていますが、どれもうなずけるものでした。
結論から述べると、松下幸之助のような「企業は社会の役に立つ存在」として経営している思想を昔から持つ日本が、今後の資本主義経済を今までと違う次元でリードしていく。
それは弁証法で有名なゲオルグ・ヘーゲルが述べている「事物の螺旋的発展」が起こっているからだ。

というのが著者の主張である。
そして、マネタリー経済とボランタリー経済の融合が起こるとも述べている。
社会起業家やCSRが取りざたされているのがこの裏付けとなる。

最近、自分の周りで起きていることと比べるとびっくりするほど合点が行く。
消費行動も、経済の動きも過去の動きを繰り返しているようで、ちょっと違う。
これが螺旋階段を横から見ているという視点でしっくりきた。
同じ円周を回りながらも、3次元的には上に発展している。
同じ円周にある角度からは見えても、決して同じ点を通過しているわけではない。
歴史は繰り返すといわれるが、まったく同じように繰り返すのではなく、ちょっと違う形で繰り返しているのだ。

お金を生むことを主眼とするマネタリー経済と、自己実現を主眼とするボランタリー経済が融合するとどうなるか。
氏はアートになると言う。
これもうなずける。
つまり、人が何かするということが、お金を稼ぐことから自己実現、自己表現に発展し、仕事自体がアートになっていく。

しかし、そうなるとお金の行方はどうなるのか?
正確な数字を覚えていないが、事物を伴わないお金が600兆円?くらい世の中にはあるという。
この浮いているお金がどのように信頼を担保され、今後ボランタリー経済と融合していくのか。
発展途上国では先進国が歩んだ道を同じように歩んだ後、ボランタリー経済とマネタリー経済が融合するのか?
疑問はいくつもでてくるが、日本に限って言えば「これから何が起こるのか」を読むことで、かなり未来予測ができる気がする。
お時間のある方はぜひご一読を。
by ape-deluxe | 2008-08-18 22:03 | おほほほ

by ape-deluxe